栄養士・調理師監修

足腰が弱くなった・すぐ疲れる方へ
筋力低下対策ガイド

サルコペニア・フレイル予防の運動と食事のヒント

📋 栄養士・調理師監修|2025年更新
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療的な診断・治療を目的とするものではありません。症状がある場合は必ずかかりつけ医にご相談ください。

足腰が弱くなる原因

📌 このセクションのポイント
  • 加齢による筋肉量の減少(サルコペニア)は30代から始まるとされています
  • 活動量の低下・タンパク質不足・ホルモン変化が複合的に影響します
  • 「年だから仕方ない」ではなく、適切な運動と食事で対策できる可能性があります
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サルコペニア(筋肉量の減少)

加齢により筋肉量と筋力が低下した状態をサルコペニアといいます。放置すると転倒・骨折・寝たきりのリスクが高まる可能性があります。60代以降は特に下肢(太もも・ふくらはぎ)から弱くなりやすいとされています。週2〜3回の筋力トレーニングで進行を遅らせることができる可能性があります。

🪑

活動量の低下(廃用性萎縮)

「疲れるから動かない→さらに筋力が落ちる→さらに疲れやすくなる」という悪循環が起きやすいです。入院・体調不良後も同様で、短期間の安静でも筋力は大きく落ちる可能性があります。「動けるうちに動く」ことが大切とされています。

🍽️

タンパク質不足

食欲低下や食事量の減少で、筋肉の材料であるタンパク質が不足しがちになります。60代以降は体重1kgあたり1〜1.2gのタンパク質が目安とされており、意識的に摂ることが大切です。特に朝食での摂取が筋肉合成に効果的とする研究があります。

🩺

フレイル(虚弱)

筋力低下・活動低下・疲労感・歩行速度の低下・体重減少が重なった状態をフレイルといいます。放置すると要介護状態につながりやすいとされていますが、適切な対策で改善できる可能性があります。早期発見・早期対策が大切です。

こんな症状ありませんか?チェックリスト

⚠️ 3つ以上当てはまる場合はフレイル・サルコペニアの可能性があります。かかりつけ医への相談をおすすめします。

やってはいけないこと・注意点

やりがちなこと問題点望ましい対応
「疲れるから」と安静にしすぎる活動量の低下が筋力低下をさらに加速させます疲れを感じながらも、少しずつ動く時間を確保する
食事量を減らす(ダイエット目的)タンパク質・カロリーが不足し筋肉が落ちやすくなりますカロリーより栄養バランスを重視し、タンパク質を意識的に摂る
痛みを無視して無理に運動する関節・筋肉を傷める可能性があります痛みが出たらすぐ中止し、医師に相談してから再開する
毎日激しい運動をしようとする高齢者は筋肉の回復に時間がかかります週2〜3回のトレーニングで十分とされています。休養も大切です
「もう遅い」と諦めてしまう運動をやめると急速に筋力低下が進む可能性があります70代・80代でも筋力維持・改善が可能とする研究報告があります

家でできる筋力維持の運動(詳細手順)

📌 このセクションのポイント
  • 週2〜3回の筋力トレーニングが筋肉量の維持に効果的とされています
  • 「きつい」より「少しがんばれる」程度の負荷が安全で継続しやすいとされています
  • 運動後30〜60分以内のタンパク質摂取を組み合わせると効果的とする考え方があります

① 椅子スクワット(立ち座り運動)

太もも・お尻の大きな筋肉(大腿四頭筋・大臀筋)を鍛えます。立ち上がり・歩行の安定に直結するとされています。

  1. 椅子の前に立ち、足は肩幅程度に開きます
  2. 両手を胸の前で軽く組むか、肘掛けに手を添えます
  3. 「椅子に腰をおろす」ようにゆっくり膝を曲げながら腰を落とします
  4. 椅子の座面に軽く触れる(または触れる直前で止める)ところで3秒キープします
  5. ゆっくり立ち上がります
  6. 10回を1セット、1日2セットを目標にします
💡 膝がつま先より大きく前に出ないように注意してください。最初は「座る→すぐ立つ」だけでも十分です。
⚠️ 膝に強い痛みがある場合は整形外科に相談してから行ってください。

② かかと上げ(カーフレイズ)

ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)を鍛えます。血液循環の改善・転倒予防にも関係するとされています。

  1. 椅子や壁に手をそえて立ちます
  2. ゆっくりかかとを上げます(できるだけ高く、3秒かけて)
  3. 3秒キープします
  4. ゆっくりかかとを下ろします(3秒かけて)
  5. 15〜20回を1セット、1日2セット行います
💡 「ふくらはぎを絞り上げる」意識で行うと筋肉への刺激が高まります。むくみの改善にも関係するとされています。

③ 太もも前面の強化(ストレートレッグレイズ)

大腿四頭筋を鍛え、膝の安定・歩行の安定に関係するとされています。膝が痛くても行いやすい運動です。

  1. 椅子に座り、背筋を軽く伸ばします
  2. 片脚の膝をゆっくり伸ばしながら、水平になるまで脚を上げます(3秒かけて)
  3. 3〜5秒キープします
  4. ゆっくり脚を下ろします(3秒かけて)
  5. 左右各10回ずつ行います
💡 脚を上げている間はお腹に軽く力を入れると、体幹の強化にもなります。

④ お尻歩き(殿部歩行)

お尻の筋肉・股関節周りの筋力を鍛えます。椅子に座ったままできるので安全です。

  1. 椅子の真ん中あたりに座り、背筋を伸ばします
  2. 右のお尻を前に出すようにして(右足が前に出る)右・左と交互にお尻を動かして前進します
  3. 10歩前進したら同様に後退します
  4. 1日2〜3セット行います
💡 お尻の筋肉を意識しながら行いましょう。股関節周りの柔軟性改善にも関係するとされています。

⑤ ウォーキング(毎日10〜30分)

「会話ができる程度」の速さで歩くことが、筋力維持・心肺機能・気分の改善に関係するとされています。

  1. 準備運動として足首を回す・ふくらはぎを伸ばすなど5分ほどストレッチします
  2. 背筋を伸ばし、やや大きめの歩幅を意識して歩き始めます
  3. 最初は10分から始め、慣れてきたら20〜30分に延ばします
  4. 週3〜5回を目安に続けます
  5. 終わったら軽いストレッチで筋肉をほぐします
💡 歩幅を「いつもより少し広め」に意識すると太ももの筋肉をより使えます。天気が悪い日は室内での足踏みや体操で代替できます。

⑥ 壁プッシュアップ(上半身の筋力維持)

腕・肩・胸の筋力を鍛えます。床での腕立て伏せが難しい方でも壁なら安全に行えます。

  1. 壁から一歩分離れて立ちます
  2. 壁に両手をつき、肩幅より少し広めに手を開きます
  3. ゆっくり肘を曲げて顔を壁に近づけます(3秒かけて)
  4. ゆっくり腕を伸ばして元の位置に戻します(3秒かけて)
  5. 10〜15回を1セット、1日2セット行います
💡 上半身の筋力は着替え・荷物の上げ下ろしなど日常動作の維持に関係します。

食事・栄養のポイント

栄養素筋力維持との関係多く含む食材
タンパク質筋肉の材料です。体重1kgあたり1〜1.2gが目安とされています。毎食20〜25g程度を分散して摂ることが推奨されることが多いです。鶏むね肉・魚・卵・豆腐・納豆・ギリシャヨーグルト・チーズ
ビタミンD筋力と骨の強度維持に関係します。不足すると筋力低下が進みやすいとされています。日光浴でも合成されます(1日15〜30分目安)。鮭・さんま・干ししいたけ・卵黄・きくらげ
ロイシン(必須アミノ酸)筋タンパク合成を促進するとされる必須アミノ酸です。特に乳製品・肉類・魚に多く含まれます。牛乳・チーズ・鶏肉・マグロ・卵
カロリー全体カロリー不足が続くと、摂取したタンパク質がエネルギーとして使われてしまい筋肉の維持が難しくなる可能性があります。ご飯・芋類・油(適量)・ナッツなど
カルシウム・マグネシウム骨の維持と筋肉の正常な収縮に関係するとされています。筋肉のけいれん(こむら返り)の予防にも関係する可能性があります。牛乳・チーズ・小魚・ほうれん草・ナッツ・豆類
💡 運動後30〜60分以内にタンパク質を摂取すると筋肉の合成効率が高まるとする考え方があります。運動後の間食にヨーグルト・ゆで卵・牛乳などを取り入れることが参考になります。

日常生活の工夫

🚶 「ながら運動」を取り入れる

テレビを見ながら足首を回す・歯磨きしながら片足立ちをする・台所仕事中にかかとを上げ下げするなど、日常動作の中に運動を組み込むと継続しやすくなります。「ながら運動」の積み重ねも筋力維持に関係するとされています。

🌳 外出・社会参加を増やす

買い物・散歩・地域の体操教室や公民館活動への参加など、外出機会を増やすことが活動量の維持につながります。社会的なつながりもフレイル予防に関係するとされています。一人での外出が不安な場合は地域の見守りサービスの活用も参考になります。

😴 睡眠・休養も大切

筋肉の修復は睡眠中に行われます。7〜8時間の睡眠確保が筋力維持にも関係するとされています。昼間の強い眠気が続く場合や夜眠れない場合はかかりつけ医への相談も検討してください。睡眠の質の改善も体力回復に関係するとされています。

📊 体重・筋肉量の定期チェック

体重計・体組成計で定期的に確認することで変化に気づきやすくなります。半年で2〜3kg以上の体重減少は受診のサインとされています。体組成計で筋肉量を測定できる機種もあり、客観的な状態把握に役立ちます。

🏥 介護予防教室を活用する

多くの自治体で無料または低額の介護予防教室(体操教室・筋力トレーニング教室)が開催されています。同年代の方と一緒に取り組むことで継続しやすくなります。地域包括支援センターや市区町村の窓口に問い合わせてみましょう。

🔄 日常動作を「運動として意識する」

椅子から立ち上がるとき「ゆっくり立つ」意識を持つ、階段を手すりを使いながらも自分の足で上がる、などの日常動作を丁寧に行うことが筋力維持に関係するとされています。「できることは自分でやる」習慣が大切です。

こんなときは受診を

⚠️ 早めに受診

  • 半年で2〜3kg以上の体重減少がある
  • 疲れやすさが強く、日常生活に支障が出ている
  • 筋力低下が急激・急速に進んでいる
  • 手足の筋肉が萎縮して細くなってきた

💡 かかりつけ医へ相談

  • 「フレイル・サルコペニアの相談をしたい」場合
  • 運動を始めたいが何から始めればよいかわからない場合
  • プロテインなどサプリの使用前に確認したい場合

🏢 地域の窓口へ

  • 自治体の介護予防教室・フレイルチェックの問い合わせ
  • 地域包括支援センターに相談
  • 市区町村の介護予防担当窓口へ

よくある質問

何歳からでも筋肉はつきますか?
適切な運動とタンパク質摂取を組み合わせることで、70代・80代でも筋肉量の維持・増加が可能とする研究報告があります。「もう遅い」と諦めず、少しずつ始めることが大切とされています。最初は「椅子からゆっくり立ち上がる」だけでも筋力トレーニングになります。
プロテイン(タンパク質補助食品)を飲んでもいいですか?
食事でタンパク質が十分に摂れない場合の補助として活用されることがあります。ただし腎機能に問題がある方はタンパク質の過剰摂取が腎臓への負担になる可能性があるため、かかりつけ医に相談のうえで使用することをおすすめします。まずは食事からの摂取を優先しましょう。
疲れやすいのは病気のサインですか?
筋力低下や活動量の低下による疲れやすさのほか、貧血・甲状腺機能低下症・心臓病・うつ病など内科的な病気が原因となることもあります。疲れやすさが強い・急に出てきたという場合はかかりつけ医への相談をおすすめします。特に「安静にしていても疲れる」場合は内科系の疾患が関係している可能性があります。
筋トレは毎日やった方がいいですか?
高齢者の場合、筋肉の回復には若い人より時間がかかるとされています。週2〜3回(1日おき程度)が筋力トレーニングの目安とされており、休養日も重要です。ただし毎日行っても問題のないウォーキング・ストレッチ・「ながら運動」は毎日続けることが参考になります。
ウォーキングだけでは筋力はつきませんか?
ウォーキングは心肺機能・全身持久力の維持に有効とされていますが、筋力強化(特に太もも・お尻の大きな筋肉)には負荷をかけた運動(スクワット・かかと上げなど)との組み合わせが効果的とされています。ウォーキングに週2〜3回の筋力トレーニングを加えることが参考になります。
食欲がなくてタンパク質が摂れません。どうすればいいですか?
食欲低下の原因(薬の副作用・消化器系の問題・うつなど)を確認することが大切です。タンパク質を摂りやすい食材として、消化がよく少量で摂れる卵・豆腐・ヨーグルト・魚が参考になります。食事が難しい場合は市販の栄養補助食品(高タンパク・高カロリーゼリーなど)を活用することもできます。かかりつけ医や管理栄養士への相談もおすすめです。

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