サルコペニア・フレイル予防の運動と食事のヒント
加齢により筋肉量と筋力が低下した状態をサルコペニアといいます。放置すると転倒・骨折・寝たきりのリスクが高まる可能性があります。60代以降は特に下肢(太もも・ふくらはぎ)から弱くなりやすいとされています。週2〜3回の筋力トレーニングで進行を遅らせることができる可能性があります。
「疲れるから動かない→さらに筋力が落ちる→さらに疲れやすくなる」という悪循環が起きやすいです。入院・体調不良後も同様で、短期間の安静でも筋力は大きく落ちる可能性があります。「動けるうちに動く」ことが大切とされています。
食欲低下や食事量の減少で、筋肉の材料であるタンパク質が不足しがちになります。60代以降は体重1kgあたり1〜1.2gのタンパク質が目安とされており、意識的に摂ることが大切です。特に朝食での摂取が筋肉合成に効果的とする研究があります。
筋力低下・活動低下・疲労感・歩行速度の低下・体重減少が重なった状態をフレイルといいます。放置すると要介護状態につながりやすいとされていますが、適切な対策で改善できる可能性があります。早期発見・早期対策が大切です。
| やりがちなこと | 問題点 | 望ましい対応 |
|---|---|---|
| 「疲れるから」と安静にしすぎる | 活動量の低下が筋力低下をさらに加速させます | 疲れを感じながらも、少しずつ動く時間を確保する |
| 食事量を減らす(ダイエット目的) | タンパク質・カロリーが不足し筋肉が落ちやすくなります | カロリーより栄養バランスを重視し、タンパク質を意識的に摂る |
| 痛みを無視して無理に運動する | 関節・筋肉を傷める可能性があります | 痛みが出たらすぐ中止し、医師に相談してから再開する |
| 毎日激しい運動をしようとする | 高齢者は筋肉の回復に時間がかかります | 週2〜3回のトレーニングで十分とされています。休養も大切です |
| 「もう遅い」と諦めてしまう | 運動をやめると急速に筋力低下が進む可能性があります | 70代・80代でも筋力維持・改善が可能とする研究報告があります |
太もも・お尻の大きな筋肉(大腿四頭筋・大臀筋)を鍛えます。立ち上がり・歩行の安定に直結するとされています。
ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)を鍛えます。血液循環の改善・転倒予防にも関係するとされています。
大腿四頭筋を鍛え、膝の安定・歩行の安定に関係するとされています。膝が痛くても行いやすい運動です。
お尻の筋肉・股関節周りの筋力を鍛えます。椅子に座ったままできるので安全です。
「会話ができる程度」の速さで歩くことが、筋力維持・心肺機能・気分の改善に関係するとされています。
腕・肩・胸の筋力を鍛えます。床での腕立て伏せが難しい方でも壁なら安全に行えます。
| 栄養素 | 筋力維持との関係 | 多く含む食材 |
|---|---|---|
| タンパク質 | 筋肉の材料です。体重1kgあたり1〜1.2gが目安とされています。毎食20〜25g程度を分散して摂ることが推奨されることが多いです。 | 鶏むね肉・魚・卵・豆腐・納豆・ギリシャヨーグルト・チーズ |
| ビタミンD | 筋力と骨の強度維持に関係します。不足すると筋力低下が進みやすいとされています。日光浴でも合成されます(1日15〜30分目安)。 | 鮭・さんま・干ししいたけ・卵黄・きくらげ |
| ロイシン(必須アミノ酸) | 筋タンパク合成を促進するとされる必須アミノ酸です。特に乳製品・肉類・魚に多く含まれます。 | 牛乳・チーズ・鶏肉・マグロ・卵 |
| カロリー全体 | カロリー不足が続くと、摂取したタンパク質がエネルギーとして使われてしまい筋肉の維持が難しくなる可能性があります。 | ご飯・芋類・油(適量)・ナッツなど |
| カルシウム・マグネシウム | 骨の維持と筋肉の正常な収縮に関係するとされています。筋肉のけいれん(こむら返り)の予防にも関係する可能性があります。 | 牛乳・チーズ・小魚・ほうれん草・ナッツ・豆類 |
テレビを見ながら足首を回す・歯磨きしながら片足立ちをする・台所仕事中にかかとを上げ下げするなど、日常動作の中に運動を組み込むと継続しやすくなります。「ながら運動」の積み重ねも筋力維持に関係するとされています。
買い物・散歩・地域の体操教室や公民館活動への参加など、外出機会を増やすことが活動量の維持につながります。社会的なつながりもフレイル予防に関係するとされています。一人での外出が不安な場合は地域の見守りサービスの活用も参考になります。
筋肉の修復は睡眠中に行われます。7〜8時間の睡眠確保が筋力維持にも関係するとされています。昼間の強い眠気が続く場合や夜眠れない場合はかかりつけ医への相談も検討してください。睡眠の質の改善も体力回復に関係するとされています。
体重計・体組成計で定期的に確認することで変化に気づきやすくなります。半年で2〜3kg以上の体重減少は受診のサインとされています。体組成計で筋肉量を測定できる機種もあり、客観的な状態把握に役立ちます。
多くの自治体で無料または低額の介護予防教室(体操教室・筋力トレーニング教室)が開催されています。同年代の方と一緒に取り組むことで継続しやすくなります。地域包括支援センターや市区町村の窓口に問い合わせてみましょう。
椅子から立ち上がるとき「ゆっくり立つ」意識を持つ、階段を手すりを使いながらも自分の足で上がる、などの日常動作を丁寧に行うことが筋力維持に関係するとされています。「できることは自分でやる」習慣が大切です。