栄養士・調理師監修

転倒・ふらつきを防ぐ
バランス改善ガイド

原因・チェックリスト・家でできる転倒予防の運動まで

📋 栄養士・調理師監修|2025年更新
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療的な診断・治療を目的とするものではありません。症状がある場合は必ずかかりつけ医にご相談ください。

なぜ高齢者は転倒・ふらつきが増えるのか

📌 このセクションのポイント
  • 筋力低下・感覚の鈍化・平衡感覚の衰えが複合的に絡みます
  • 薬の副作用・血圧変動・視力低下も転倒の原因になる可能性があります
  • 「年のせいだから仕方ない」ではなく、適切な対策で改善できる可能性があります
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筋力・反射速度の低下

加齢とともに足腰の筋力や反射速度が低下し、つまずいたときに咄嗟に体を支えられなくなる可能性があります。特に太もも・ふくらはぎ・足首周りの筋力が重要とされています。週2〜3回の筋力トレーニングで改善が期待できるとされています。

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平衡感覚・前庭機能の衰え

内耳にある平衡感覚の器官(前庭)の機能が低下すると、バランスを保つ能力が低下する可能性があります。暗い場所や不整地での転倒リスクが高まるとされています。閉眼時にバランスが取りにくい場合はこの機能の低下が考えられます。

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視力・深視力の変化

加齢による視力低下・白内障・深視力(距離感)の低下は、段差や障害物の認識を難しくする可能性があります。定期的な眼科受診と、適切な眼鏡の使用が参考になります。夜間の視力低下にも注意が必要です。

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薬の副作用・血圧変動

睡眠薬・降圧薬・抗不安薬などは眠気やふらつきを引き起こす場合があります。また起き上がったときの急激な血圧低下(起立性低血圧)もふらつきの原因になることがあります。3種類以上の薬を服用している場合は特に注意が必要とされています。

転倒リスクのチェックリスト

⚠️ 3つ以上当てはまる場合は転倒リスクが高い可能性があります。かかりつけ医または地域の転倒予防教室への相談をおすすめします。

やってはいけないこと・危険な行動

危険な行動リスク安全な代替方法
急いで立ち上がる起立性低血圧によるふらつき・失神の原因になる可能性がありますゆっくり横向きになり→座位で少し待ってから立ち上がる
素足・スリッパで歩くすべりやすく、つまずきやすくなりますかかとまで覆うすべり止め付きの室内履きを使用する
暗い中でトイレへ行く夜間の転倒は重症化しやすく骨折リスクが高いですセンサーライト・足元ライトを設置する
高い場所のものを取ろうと背伸びする重心が高くなりバランスを崩しやすくなります踏み台(手すり付き)を使うか、家族に依頼する
急いで電話・ドアに出る焦りによる転倒は多く報告されていますゆっくり立ち上がり、急がない習慣をつける
ポケットに手を入れて歩く転倒時に手をつけず顔・頭を打つリスクが上がります両手を自由にして歩く・バッグはショルダーに

家でできる転倒予防の運動(詳細手順)

📌 このセクションのポイント
  • バランス訓練・筋力強化・柔軟性の3つが転倒予防の柱とされています
  • 転倒が怖い方は必ず椅子や壁を使って安全確保してから行いましょう
  • 毎日少しずつ続けることが大切とされています

① 椅子を使った片足立ち(バランス訓練)

転倒予防に最も効果的とされる運動のひとつです。静的バランス能力を鍛えます。

  1. 椅子の背もたれに両手を軽く添えます
  2. 片方の足をゆっくり床から少し浮かせます(5〜10cm程度)
  3. そのまま10〜30秒キープします(最初は5秒でもOK)
  4. ゆっくり足を下ろします
  5. 反対の足も同様に行います。左右各2〜3回ずつ
  6. 慣れてきたら手を添える力を弱め、最終的には指先だけ触れる程度にしていきます
💡 「壁の前に立って両手を壁に添える」形から始めるとさらに安全です。毎日続けることで静的バランスが改善する可能性があります。
⚠️ 転倒リスクがある方は必ず背もたれや壁を支えにして行ってください。一人での実施に不安がある場合は家族と一緒に行いましょう。

② かかと上げ・つま先上げ(ふくらはぎ・前脛骨筋の強化)

ふくらはぎと足首周りを鍛えることで、つまずきにくい歩行につながる可能性があります。

  1. 椅子の背もたれに手をそえて立ちます
  2. ゆっくりかかとを上げて3秒キープします(できるだけ高く)
  3. ゆっくりかかとを下ろします
  4. 次につま先を上げて3秒キープします
  5. ゆっくりつま先を下ろします
  6. かかと上げ・つま先上げをそれぞれ15〜20回行います
💡 かかとを上げるときは「ふくらはぎを絞り上げる」意識で行うと効果的です。血流促進にも関係するとされています。

③ 太もも上げ歩き(モモ上げ)

股関節屈筋を鍛えることで足が上がりやすくなり、つまずきのリスクを軽減できる可能性があります。

  1. 壁または椅子の背もたれに片手を添えます
  2. その場で足踏みをします
  3. 太ももをやや高めに上げる意識で(普段より少し高く)1〜2分続けます
  4. 疲れたら休憩してから繰り返します
💡 「つま先で床を蹴り上げる」意識で歩くとさらにふくらはぎも使えます。転倒しにくい歩き方の練習にもなります。
⚠️ バランスが不安定な方は壁際で行い、必ず片手を壁に添えてください。

④ タンデムウォーク(一直線歩き)

動的バランス能力のトレーニングです。歩行中のバランス維持能力を高めます。

  1. 壁沿いに立ち、片手を壁に添えます
  2. 右足のかかとを左足のつま先にくっつけるように踏み出します
  3. 同じように左足のかかとを右足のつま先にくっつけます
  4. このようにして一直線上をゆっくり10〜20歩歩きます
  5. 戻るときは反対方向に同じように歩きます
💡 最初は壁に手をつきながら行いましょう。慣れてきたら壁から手を離してみます。
⚠️ 必ず壁沿いで行い、転倒しても大丈夫な環境を確認してから行ってください。

⑤ 足首回し・ストレッチ(座ったまま)

足首の柔軟性を保つことは、歩行時のバランス維持に関係するとされています。起床後や就寝前にも行えます。

  1. 椅子に深く腰掛けます
  2. 片足を少し浮かせ、足首をゆっくり大きく内回しに10回まわします
  3. 次に外回しに10回まわします
  4. 続いてつま先を手前に引いてふくらはぎを10〜20秒伸ばします
  5. 反対の足も同様に行います
💡 朝起きてすぐベッドの上でも行えます。むくみ予防にも関係するとされています。

⑥ 椅子スクワット(立ち座り運動)

太もも・お尻の大きな筋肉を鍛えることができ、立ち上がり・歩行の安定に関係するとされています。

  1. 椅子の前に立ち、足は肩幅程度に開きます
  2. 手を胸の前で軽く組むか、椅子の肘掛けに添えます
  3. ゆっくり腰を落として「椅子に触れる直前」で3秒止めます(または軽く座る)
  4. ゆっくり立ち上がります
  5. 10回を目安に、1日2セット行います
💡 膝がつま先より前に出過ぎないよう注意してください。最初は椅子に座るところまでで十分です。
⚠️ 膝に強い痛みがある場合は整形外科に相談してから行ってください。

日常生活の転倒予防の工夫

🏠 室内環境の整備

段差をなくす・すべり止めマットを敷く・夜間の足元ライトを設置するなど、環境から転倒リスクを減らすことが効果的とされています。特にトイレ・浴室・廊下・玄関は注意が必要です。カーペットの端がめくれていないか定期的に確認しましょう。

🛁 浴室・トイレの手すり

浴槽の出入り・トイレの立ち上がりは転倒が多いシーンです。手すりの設置は転倒予防に有効とされています。介護保険を使った住宅改修制度(自己負担1割〜)を活用できる場合があります。地域包括支援センターに相談してみましょう。

👟 室内履きの見直し

素足やスリッパは滑りやすく、転倒リスクが高まる場合があります。かかとまでしっかり覆い、すべり止めのついた室内履きが参考になります。ひもが解けやすい靴は面ファスナー(マジックテープ)タイプへの変更も参考になります。

💡 夜間の照明対策

夜中のトイレは転倒が多い時間帯です。センサーライトや足元ライトを廊下・トイレに設置することで、暗がりでの転倒リスクを減らせる可能性があります。スマートホーム機器を使った自動点灯の設置も参考になります。

🧹 床の整理整頓

コード類・新聞紙・衣類が床に散らかっていると引っかかりやすくなります。通り道に物を置かない習慣が大切です。コードはまとめてテープで床に固定するか、コードカバーで保護することが参考になります。

🦯 杖・歩行補助具の活用

杖は「転倒の道具」ではなく「安全に歩くための道具」です。適切な長さ・種類の杖を選ぶことで歩行の安定性が向上する可能性があります。杖の長さの目安は「立位でグリップを持ったとき肘が30度程度曲がる高さ」です。医師や理学療法士に相談してみましょう。

食事・栄養との関係

栄養素転倒予防との関係多く含む食材
タンパク質筋肉量の維持に関係します。不足するとサルコペニア(筋肉量低下)が進み転倒リスクが高まる可能性があります。毎食20〜25g程度を目安に摂ることが参考になります。鶏肉・魚・卵・豆腐・納豆・ギリシャヨーグルト
カルシウム・ビタミンD骨密度の維持に関係します。転倒しても骨折しにくい骨を保つことが大切とされています。ビタミンDは筋力維持にも関係するとされています。牛乳・チーズ・しらす・鮭・干ししいたけ(日光浴でも合成されます)
ビタミンB12・葉酸神経機能の維持に関係し、バランス感覚にも影響する可能性があります。不足すると末梢神経障害が起きることがあります。肉類・魚介類・卵・緑黄色野菜・乳製品
水分(こまめな補給)脱水は血圧低下・めまい・集中力低下を招き、転倒リスクを高める可能性があります。1日1.5〜2L目安で、喉が渇く前に少しずつ摂ることが大切です。水・麦茶・みそ汁・スープ・果物など
💡 極端なダイエット・食事制限は筋力低下・骨密度低下を招き転倒リスクを高める場合があります。適切なカロリーと栄養バランスを維持することが大切です。

こんなときは受診を

🚨 すぐ受診(救急も検討)

  • 転倒して頭を打った・強い痛みがある・動けない
  • 突然の強いめまいで立てない
  • ふらつきとともに顔のしびれ・ろれつが回らない(脳卒中の可能性)

⚠️ 早めに受診

  • ふらつきが突然ひどくなった
  • 回転性のめまいが続く
  • 立ち上がると毎回ふらっとする(起立性低血圧の可能性)
  • 転倒後に痛みが続いている

💡 かかりつけ医・専門科へ

  • 「なんとなくふらつく」が続く場合→内科・神経内科
  • 耳鳴り・耳閉感を伴うめまい→耳鼻科
  • 転倒予防の運動指導→整形外科・リハビリ科

よくある質問

転倒予防の運動はどのくらいやればいいですか?
週3回以上、1回10〜30分程度が目安とされています。毎日少しずつ続けることが大切で、特別な器具がなくても椅子・壁を使った運動から始められます。「ながら運動」(テレビを見ながら足首回しなど)を日常に組み込むと継続しやすくなります。
ふらつきとめまいの違いは何ですか?
めまいは「ぐるぐる回る感覚(回転性)」や「ふわふわする感覚(浮動性)」として現れることが多いとされています。ふらつきは主に体のバランスがとりにくい状態を指します。両者は原因が異なる場合があるため、症状が強い・続く場合は耳鼻科・神経内科での診察が参考になります。
転んでから外出が怖くなりました。どうすればいいですか?
転倒後に外出を避けるようになることは「転倒恐怖症」と呼ばれ、活動量の低下からさらに筋力が落ち転倒リスクが高まる悪循環につながる可能性があります。まずは室内での運動から始め、杖の使用・付き添いなど安心できる環境を整えながら少しずつ外出を再開することが参考になります。かかりつけ医への相談もおすすめします。
片足立ちが全くできません。どうすれば始められますか?
最初は「椅子の背もたれを両手でしっかり握った状態で片足を浮かせる」だけで十分です。浮かせる高さは数センチで構いません。毎日続けることで少しずつバランスが改善する可能性があります。「5秒を目標→10秒→20秒」と少しずつ伸ばしていきましょう。
杖を使い始めると筋力が落ちますか?
適切な杖の使用は転倒リスクを下げ、安全に歩ける範囲を広げることができます。活動量が増えることで筋力の低下を防ぐ効果も期待できます。「杖を使うと筋力が落ちる」という考えから転倒リスクの高い状態で無理に歩くことの方が危険です。担当医や理学療法士に相談して適切な杖の使い方を確認しましょう。
家の改修(手すりなど)に補助金はありますか?
要支援・要介護認定を受けている場合、介護保険を使った住宅改修(手すり・段差解消など)で最大18万円(自己負担1〜3割)の補助が受けられる場合があります。要介護認定を受けていない場合でも、自治体によっては独自の補助制度がある場合があります。地域包括支援センターまたは市区町村の介護保険担当窓口に相談してみましょう。

体の調子が良い日に、大切な想いを動画で残しませんか

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